筋機能療法

筋機能療法
矯正治療は大人になってからもできるし、ある程度子どもが大きくなってから始めたほうがいいのでは?とお考えの方もいるかもしれません。
歯並びやかみ合わせ、あごの骨格というのは、遺伝のみで決まるわけではなく、日常的な口の周りの筋肉の使われ方にも影響を受けます。
つまり、口周りの癖や食生活の問題、姿勢の悪さなどにより口の周りの筋肉の使われ方が良くないと、歯並びやお顔の形が悪くなってしまう恐れがあります。
また、仮に矯正治療をして歯並びを整えたとしても、筋肉の使い方に問題が残ったままだと再び歯並びが悪くなる恐れがあります。そのため、口の周りの筋肉の使われ方に問題が見られるケースでは、筋肉を正しく使えるようにする「筋機能療法」をしっかりとおこない、このような問題を根本的に防いでいくことが大切です。

筋機能療法とは

筋機能療法とは
筋機能療法とは、舌や口の周りの筋肉を正しく動かす方法を練習して、習慣化していくトレーニングです。この治療法を実践することで、お口の状態によっては矯正装置を使わずに不正咬合(歯並びやかみ合わせの悪い状態)の改善をすることも可能です。
口周辺の筋肉とはどこかというと、食べたり、飲んだり、話したりする際に使う筋肉、つまり「唇」「舌」「噛む筋肉」「頬の筋肉」「のどの筋肉」などです。
筋機能療法をおこなうことで、装置を使わなくても自然にきれいな歯並びやかみ合わせが作られやすくなったり、矯正治療の精度を高めたりすることができます。
また顔の骨格もより美しくなり、矯正治療後の後戻り(歯並びの乱れ)を極力防ぐこともできます。

口の周りの筋肉のバランスが悪くなる原因

次のようなことがあると、口の周りの筋肉バランスが悪くなります。
これらの原因を取り除いていきながら、同時に筋機能療法を進めていくことが大事です。
口やあごに異常な力をかける癖
おしゃぶりの長期使用や指しゃぶり、爪、唇をかむ癖、舌を突き出す癖、ほおづえ、うつぶせ寝といったものがあると、口周囲の筋肉が異常な働き方をしますので、歯並びの形成や顔の形に悪影響を与えます。
口呼吸
鼻づまり、アレルギー鼻炎、扁桃やアデノイド肥大などが原因で鼻呼吸ができない状態になっている場合、もしくは口呼吸をすることが癖になっている場合、下あごの位置が下がり、舌のポジションが本来あるべきところとは違う場所に位置してしまうため、歯並びやあごの成長に悪影響を与えます。
やわらかいものばかり食べる
やわらかいものばかり食べる食生活では、あまり噛むことをしなくなってしまいます。そうすると、口の筋肉が十分に働かないため、歯並びが正しく形成されなくなります。
舌小帯(ぜつしょうたい)の異常
舌小帯とは舌の裏側にあるスジ状のものです。このスジが短くて太く、がっちりしていると、舌の運動が制限されてしまい、あごの成長が不十分になったり、正しく歯並びが作られなくなったりする原因になります。
不正咬合や骨格異常
骨格性の下顎前突(受け口)や開咬といった状態があると、お口周囲の筋肉がバランスよく働かなくなります。

筋機能療法で得られるメリット

不正咬合の予防、後戻りの予防

不正咬合の予防、後戻りの予防
口周囲の悪い筋肉の使い方を正すことで、歯並びが悪くなること自体を防げる可能性があります。また、正しく筋肉が使えるようにしておくと、仮に矯正治療をした場合に後戻りが起こるのをなるべく防ぐことができます。

体の健康増進

体の健康増進
口周囲の筋肉が正しく使えるようになると、歯並びだけでなく、咀嚼・嚥下・呼吸・発音を正しくおこなえることにもつながります。そうすると、より健康的な一生を送りやすくなります。

筋機能療法でおこなうこと

診断・トレーニング開始

診断・トレーニング開始
まずはお口周りの癖があるか、お口の周りの筋肉のどの部分に問題があるかを診断します。そして、さまざまなトレーニングをしながら、最終的には無意識に、自然と舌や唇が正しい位置に位置付けられるように、また、悪影響を及ぼす口周りの癖についても取り除いていくことを目指していきます。

1ヶ月に1回の通院

1ヶ月に1回の通院
筋機能療法のトレーニングは、通常はだいたい1ヶ月に1度くらいの間隔で来院していただき、訓練を受けたスタッフと一緒に行います。

おうちでも毎日練習していただきます

おうちでも毎日練習していただきます
筋機能療法は毎日行うことが大事です。日々続けていくことによりそれが癖になり、自然に正しい筋肉の使い方が身についていきます。
筋機能療法は地味なトレーニングではありますが、より自然な形でキレイな歯並びを作り、維持していくためにとても大事なものです。また、きちんと筋肉をつかえるようになることで、将来の健康的な体作りにもつながっていきます。
ぜひ、一緒に頑張っていきましょう!

口元の筋肉を鍛える「あいうべ体操」

あいうべ体操は、口の周りの筋肉を鍛え、鼻呼吸ができるようになるためのトレーニング方法です。お口をぽかんと開けた口呼吸の状態では鼻呼吸ができず、それが続くことにより歯並びや骨格の変形、風邪をひきやすくなる、集中力の低下といった弊害が起こってきます。
あいうべ体操を日々の習慣にすることにより、口周囲の筋肉が強化されて自然に鼻呼吸ができるようになっていきます。
  • 「あー」と口を大きく開く
  • 「あー」と口を大きく開く
  • 「あー」と口を大きく開く
  • 「あー」と口を大きく開く
①~④を1セットとし、1セットを5秒くらいかけてゆっくりおこない、1日30セットを目安にやってみましょう。(朝・昼・夜にわけて)毎日続けることによって確実に効果が現れますので、毎日の日課にしていきましょう。